現代人に多い「猫背」の落とし穴:僧帽筋下部線維が眠っていませんか?

2025.07.19

現代人に多い「猫背」の落とし穴:僧帽筋下部線維が眠っていませんか?

スマートフォンやPC作業が日常になった現代。多くの人が悩まされている肩こり首の痛み姿勢の悪さ。これら不調の原因の一つに、背中の大きな筋肉である僧帽筋(そうぼうきん)の下部線維がうまく使えていないことが挙げられます。

「僧帽筋?」「下部線維?」と聞き慣れない方もいるかもしれませんね。僧帽筋は首から背中にかけて広がるひし形の大きな筋肉で、上部・中部・下部の3つの線維に分かれています。このうち、特に下部線維は肩甲骨を正しい位置に引き下げ、安定させるという重要な役割を担っています。

しかし、デスクワークなどで前かがみの姿勢が続くと、肩が内側に入り、肩甲骨が外側に開いてしまう「猫背」になりがちです。この状態が長く続くと、僧帽筋下部線維は常に引き伸ばされ、うまく機能しなくなってしまいます。その結果、

  • 肩甲骨の不安定化: 肩甲骨が適切な位置に保たれず、肩や首に過度な負担がかかる。

  • 代償動作の発生: 僧帽筋下部線維の代わりに、僧帽筋上部線維や首の筋肉などが過剰に働き、それが凝りや痛みに繋がる。

  • 呼吸の質の低下: 胸郭が狭くなり、深い呼吸がしづらくなる。

といった様々な不調を引き起こす可能性があります。

 

改善事例:長年の肩こりに悩まされていたAさんの場合

 

「慢性的な肩こりに悩まされていて、マッサージに行ってもすぐに元に戻ってしまうんです…」

そう言って当院を訪れたAさん(30代・女性)。デスクワーク中心の仕事で、見るからに猫背気味。特に首から肩にかけての筋肉がガチガチに固まっていました。

姿勢分析を行うと、やはり僧帽筋下部線維の活動が低下しており、肩甲骨が上方に挙がり、前方に突き出ている状態が見受けられました。そこで、Aさんには以下の改善アプローチを提案しました。

  1. 意識的な姿勢の改善: まずは日常生活での姿勢を見直し、座る際や立つ際に肩甲骨を意識的に引き下げる練習を行いました。

  2. 周辺筋肉のリリースとストレッチ: 僧帽筋下部線維が働きやすいように、過緊張している首や肩の筋肉をリリースし、ストレッチで柔軟性を高めました。

これらのエクササイズを毎日継続して行った結果、約1ヶ月後にはAさんの姿勢は目に見えて改善し、長年悩まされていた肩こりも大幅に軽減されました。「肩が軽くなって、仕事中の集中力も上がった気がします!」と嬉しいお言葉をいただきました。


 

あなたの僧帽筋下部線維も眠っていませんか?

 

もしあなたが慢性的な肩こりや首の痛み、猫背に悩んでいるなら、もしかしたら僧帽筋下部線維がうまく使えていないのかもしれません。日々の生活の中で少し意識を変え、簡単なエクササイズを取り入れるだけでも、身体は確実に変わっていきます。



副院長 板倉 基二