2025.07.14
筋肉の硬さによる肩の可動域制限
ハーモニー仙川中央整骨院です!
今回は「筋肉の硬さによる肩の可動域制限」について、特に筋膜のつながりを意識した治療法と、その効果についてお話ししていきます。
症状の概要
肩の可動域制限とは、腕を上げたり回したりする際に、肩関節の動きが阻害され、正常な範囲まで動かせなくなる状態を指します。痛みがない場合もありますが、多くは痛みや引っかかり感を伴います。
具体的には、
-
腕を高く上げられない(バンザイができない)
-
背中に手を回す動作が難しい
-
肩を回すとつっぱり感がある
-
特定のスポーツ動作(投球、スマッシュなど)で制限を感じる
-
姿勢が悪く、肩が内側に入っている(巻き肩)
といった症状が挙げられます。
症状の原因
肩の可動域制限の原因は多岐にわたりますが、筋肉の硬さが主な要因となることが非常に多いです。
-
長時間の不良姿勢:デスクワークやスマートフォンの使用で猫背や巻き肩が続く
-
特定の筋肉の使い過ぎ:スポーツや仕事で同じ動作を繰り返す
-
運動不足:肩周りの筋肉が使われず、硬くなる
-
疲労やストレス:筋肉が緊張しやすくなる
-
筋膜の癒着や短縮:筋肉だけでなく、筋肉を包む筋膜の硬さが影響する
などがあります。特に、肩の痛みがないのに可動域が制限されている場合、筋肉や筋膜の硬さが原因である可能性が高いです。
症状の治療法:筋膜のつながりを意識したアプローチ
肩の可動域制限の治療法として、当院では単に痛む部分だけでなく、全身の筋膜のつながりを意識したアプローチを行います。特に、肩関節の動きに大きく関わる「ディープフロントアームライン(DFAL)」という筋膜のつながりに注目した治療を行います。
DFALは、胸の奥深くから肩、腕の内側を通って指先にまでつながる筋膜のラインです。このライン上のどこかに硬さやねじれがあると、それが肩の動きに影響し、可動域制限を引き起こすことがあります。
当院では、以下のような方法を用いて症状の改善を目指します。
-
電気治療
痛みや炎症を軽減し、硬くなった筋肉を緩めるために電気治療を行います。 ハイボルテージ治療は、高電圧の電気を用いた治療法で、強い痛みに対して即効性が期待できます。炎症を抑え、痛みを和らげます。 立体動態波治療は、深部の筋肉まで刺激する治療法で、筋肉の痛みや緊張を和らげる効果が期待できます。
-
手技療法(筋膜リリース・関節モビライゼーション)
硬くなった肩周りの筋肉だけでなく、ディープフロントアームライン上の関連する筋肉や筋膜(例:大胸筋、小胸筋、広背筋、上腕二頭筋など)にもアプローチします。筋膜リリースやマッサージで癒着を剥がし、筋肉の柔軟性を高めます。また、肩甲骨や肩関節、胸郭の動きを整えることで、肩全体の動きをスムーズにします。
-
運動療法(機能改善エクササイズ・姿勢指導)
回復段階に入ったら、肩関節の可動域を広げるストレッチや、肩を安定させるための筋力トレーニングを行います。特に投球動作など、特定の動作に合わせた機能改善エクササイズを指導し、正しい体の使い方を習得していただきます。EMS(Electrical Muscle Stimulation)を用いた体幹の筋力強化も、肩の安定性向上に効果的です。
改善事例:野球選手の投球制限
症例:
10代男性の野球選手。 肩に痛みはないものの、最近、投球時に腕がしっかり上がらず、球速が落ちていることに悩んでいました。特に、腕を大きく後方に引くトップポジションの際に詰まるような感覚があり、思うように腕が振れない状態でした。
改善例:
問診と検査の結果、肩関節の可動域制限があり、特に胸郭や胸郭出口周辺の筋肉(大胸筋、小胸筋、斜角筋など)の硬さが顕著であることが判明しました。これは、ディープフロントアームラインの硬さが肩の動きを制限している可能性が高いと推測しました。
まず、ハイボルテージ治療と立体動態波治療を併用し、肩周りだけでなく、胸部や腕の前面の硬くなった筋肉の緊張を緩和しました。 次に、手技療法で特に硬くなっていた大胸筋や小胸筋、広背筋、そして腕の内側の筋膜に焦点を当てた筋膜リリースを重点的に行いました。肩甲骨の動きも改善させ、胸郭の拡張性を高める施術も加えました。 痛みが落ち着いてきたら、運動療法として、肩甲骨の安定化エクササイズや、投球動作に必要な柔軟性を高めるストレッチ、そして効率的な投球フォームに繋がる体幹トレーニングを指導。EMSも活用し、体幹の安定性を高めました。
その結果、肩関節の可動域が大幅に改善し、投球時の腕の振りがスムーズになりました。球速も回復し、以前よりも肩に負担を感じることなく、思い切り投げられるようになったと大変喜んでいらっしゃいます。
肩の可動域制限は、日常生活だけでなくスポーツのパフォーマンスにも大きく影響します。単なる肩の硬さと諦めずに、筋肉だけでなく筋膜のつながりにも着目した専門的な治療で、改善を目指しませんか? 肩の不調でお悩みでしたら、ぜひ一度ハーモニー仙川中央整骨院にご相談ください。
副院長 板倉 基二