仙腸関節由来の痛み、そのメカニズムと整骨院でのアプローチ

2025.06.05

仙腸関節由来の痛み、そのメカニズムと整骨院でのアプローチ

仙腸関節由来の痛み、そのメカニズムと整骨院でのアプローチ

「お尻の痛み」「足の付け根の違和感」「座っていると辛い腰痛」…これらの症状は、仙腸関節(せんちょうかんせつ)の機能障害が原因となっている可能性があります。仙腸関節は、仙骨(骨盤の中央にある逆三角形の骨)と腸骨(骨盤を構成する大きな骨)をつなぐ関節で、わずかな動きで体の衝撃を吸収し、歩行や姿勢保持において重要な役割を担っています。

仙腸関節機能障害とは?

仙腸関節は非常に安定性の高い関節ですが、日常生活での偏った姿勢、長時間の座りっぱなし、外傷、妊娠・出産などをきっかけに、関節の動きが制限されたり、不安定になったりすることがあります。これにより、周囲の筋肉に過度な負担がかかり、炎症や痛みを引き起こします。痛みは仙腸関節周辺だけでなく、お尻の奥、股関節、太ももの裏、ひどい場合はふくらはぎや足の甲にまで放散することもあります。

整骨院でできること:仙腸関節への多角的なアプローチ

整骨院では、仙腸関節由来の痛みに対し、以下のステップでアプローチしていきます。

  1. 詳細な問診と評価:

    • 痛みの部位、発症時期、どのような動作で痛みが増悪するかなどを詳しくお伺いします。
    • 触診により仙腸関節の可動性、周囲の筋肉の緊張、骨盤の歪みなどを細かく評価します。また、股関節や腰椎など、関連する部位の動きも確認し、鑑別診断を行います。
  2. 手技療法によるアプローチ:

    • 関節モビライゼーション: 仙腸関節の動きが制限されている場合、関節包内運動を促すためのソフトな手技を用いて、関節の可動性を改善します。バキバキするような強い矯正は行いません。
    • 姿勢矯正:仙腸関節が痛くなる要因として普段の姿勢の悪さが挙げられます。当院ではバキバキするような強い矯正は行いません。
    • ストレッチ: 硬くなった筋肉を伸ばし、柔軟性を向上させます。
  3. 運動療法と生活指導:

    • 安定化エクササイズ: 仙腸関節の安定性を高めるためのインナーマッスル(腹横筋、多裂筋など)の強化エクササイズを指導します。
    • 姿勢指導: 日常生活での正しい姿勢(座り方、立ち方、物の持ち方など)をアドバイスし、仙腸関節への負担を減らす方法をお伝えします。
    • セルフケア指導: 自宅でできる簡単なストレッチや体操を指導し、痛みの再発予防に努めます。

仙腸関節由来の痛みは、適切なアプローチで改善が期待できます。長引くお尻や腰の痛みでお悩みの方は、ぜひ一度、仙腸関節の専門知識を持つ整骨院にご相談ください。丁寧なカウンセリングと施術で、あなたの痛みの原因を特定し、根本からの改善を目指します。



副院長 板倉 基二